仁愛大学 Jin-ai University

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人間学部

コミュニケーション学科

学科TOPICS

2024年07月01日観光学特設コース「観光学特別講座」を開催しました

6月15日(土)午前9時より本学A303講義室において「観光学特別講座」を開催しました。この特別講座は、観光専門人材の養成を目的とした本学の観光学特設コースを受講する学生向けに開催するものですが、地域の方にも参加頂けるよう一般向けに開放しており、全体で50名を超える参加がありました。

当日は、甲南女子大学人間科学部准教授、木村至聖氏から「ヘリテージとツーリズム」と題して講演が行われました。

木村先生は、地域から観光を見た場合、大規模な投資をともなうテーマパーク観光などは財政破綻の危険が伴うこと、また、投資が少なくすむアニメの聖地巡礼のようなコンテンツツーリズムは、人気が不安定であり、外部からの働きかけがなければ成立しないという欠点があることを指摘されました。そして、地域内部にもともとにあるヘリテージ(遺産)ツーリズムを観光に積極的に利用すべきであると述べられました。

そのヘリテージ(遺産)という考え方自体は実は古いものではなく、近代に入ってから生まれたものであり、文化的景観や産業遺産などのように現在も拡大を続けているものであり、その結果、現在では、國がすべてを保護しつづけることは困難なっているという現状を指摘されました。

このような状況では、地域住民が、ヘリテージ(遺産)を私たちのものであると考え、積極的に関与していかなければ持続できないことを指摘され、そして、地域が、ヘリテージ(遺産)を見直し、何をどのように受け継いでいくかを考える機会として観光を捉えるべきであると述べられました。

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続いて、公益社団法人福井県観光連盟観光地域づくりマネージャー佐竹正範氏、TSUGI LLC.代表 新山直広氏から「福井県観光の新たな潮流づくり」と題して講演が行われました。

佐竹氏は、まず、日本の人口、福井県の人口が減少局面を迎えていることを指摘されました。それにともない、県内の経済循環率も減少に向かうが、それを防ぐためには、減少分を域外からの獲得によって補う必要があり、その手段が観光であると述べられました。

ただ、経済の縮小分を補うためには、単なる観光ではなく、宿泊や食事、体験といった、「稼ぐ」観光が必要であり、そのためには、マーケティングをしっかり行う必要あると指摘されました。そのために、福井県では、デジタル情報化技術を使ったデータの収集活用が始まっていることを紹介されました。

入込客、宿泊数、決済、アンケートなどのデータがリアルタイムで集計され、公開されている「FTAS(エフタス)」というサイトを紹介され、このFTASのデータを実際に使いながら、新幹線開業前と後において、関東からの観光客の目的がどのように変化しているかなどの実例を示され、それらを利用した新しい観光のあり方とその可能性を示されました。

新山氏は、自らの実践に基づいた新しい地場産業と観光のあり方を講義されました。

漆器、眼鏡、和紙などの越前鯖江の地場産業の工場見学とワークショップを組み合わせた体験型マーケットイベント「RENEW」は、立ち上げた2015年当初は1,200人の来場者しかいませんでしたが、2023年には37,000人にまで増加し、全国でも屈指の産業観光イベントになっています。

RENEWの開催は、来場した人に体感してもらうことによってその価値を知ってもらうだけではなく、地域内部の人にも地場産業の価値を気付いてもらう機会になっていることを指摘されました。また、その輪が拡がっていることを示され、地場産業を中心とした観光と地域づくりの可能性の実例を教えて下さいました。

講座後の質疑では、参加者から多くの質問が寄せられ、講師の方に丁寧に回答頂きました。

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また、終了後のアンケートでは、参加者からは「どちらの方のお話もおもしろかったです。観光や地域づくりは身近なテーマでおもしろいのでどんどんやってほしいと思います」、「新しい意識を持つことができた」、「観光に対する視点が広がりました」など大変好評な意見が寄せられました。

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