仁愛大学 Jin-ai University

人間学部

コミュニケーション学科

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2019年08月20日加藤優子先生から「イギリス便り」Vol.4が届きました!

2019年度前期、イギリスのヨークで国際共同研究を行っている加藤優子先生から、学科生や高校生の皆さんに「イギリス便りVol.4」が届きました。最終回となる今回は、イギリスの大学での学びについてです!


こんにちは! コミュニケーション学科の加藤です。

現地レポート第4弾は、イギリスの大学での学びについて紹介したいと思います。

(University of York / Alex Holland)

まずは、授業についてお話ししましょう。授業の受け方は、日本の大学と同様、必修科目と、学生が自ら選択する選択科目を履修し、単位を取得していきます。授業の進め方は、講義・演習・実習などにより様々です。いずれの授業でも、予習が前提で進められるため、相当な分量の予習をしておかないと授業に付いて行くことはほぼ不可能です。また、演習で特徴的なのは、プレゼンテーションを含め、学生の発言がかなりの割合を占めるところでしょうか。少人数の演習クラスでは、意見を出し合いながら授業を進めることによって、様々な気付きを促し、トピックに関する考えを深めていく、という学習スタイルが主流のようです。

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(University of York / John Houlihan)

修士・博士課程では、指導教官による個別指導を受け、論文を作成していきます。この個別指導は、1回2~3時間に及びます。特に博士課程では、指導教官からの、言葉は丁寧ですがパンチのきいた鋭い指摘に打ちのめされ、真っ白に燃え尽きることもしばしば。しかし、同じ目的を共有する友人に支えられ、再び立ち上がって論文作成に取り掛かる、ということの繰り返しです。まるでボクシングのような表現ですが、個別指導は、新たな研究者を育てるための、いわば学術界の道場のようなものです。厳しい指導に対応することで、2~3時間程度の中間論文審査、そして3~4時間にわたる最終論文審査にて、自らの論文をディフェンスする力を身に付けていきます。この個別指導こそが、最も密度の濃い指導を受けることのできる場といえるかもしれません。

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(University of York / Alex Holland)

さて、試験の話です。定期試験にも様々な形態があり、試験の点数そのものが成績として反映されることも。文系の学科では、1つの授業につき3,000ワード程度(A4紙1.5行でおよそ12ページ)の小論文を数本作成することが多いようです。また、修士・博士課程では、先ほども触れたように、論文が審査の対象となります。学科により異なりますが、文系の修士課程では、15,000ワード程度の修士論文、博士課程では、80,000ワード程度の博士論文の作成を求められるのが一般的なようです(ワード数を言われてもピンとこないかもしれませんね。冊子にすると、修士論文は1センチ程度、博士論文は5センチ程度の厚さになります)。こうした論文を作成するために必要になってくるのが、文献調査。小論文であっても高度な内容を要求されるので、まずは多くの著書を読み、その上で考察を進めていかなければなりません。そこで、学生は図書館へせっせと足を運ぶことになります。

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(University of York / John Houlihan)

大学での学びの要となる図書館ですが、ヨーク大学の場合は、J. B. Morrell Libraryに約1万冊以上の蔵書やジャーナルがあり、24時間362日利用することができます(休館日は12月25・26日と元旦)。約1,250の座席と、グループワーク用の教室も併設されていて、蔵書は1人75冊まで、原則8週間貸出可能。また、電子ジャーナル・電子図書には、学籍番号さえあれば、学内外のどのPCからでもアクセス可能です。とはいえ、全ての資料が電子化されているわけではないですから、やはり論文作成のためには図書館に籠るのが一番効率がよく、学期末の図書館は文字通り全ての机と教室が埋まり、学生たちは黙々と取り組んでいます。加藤も、学生時代は、図書館に引籠る毎日でした。なにしろ、本を読まないことには一文字も書けませんし、論文は、誰かが書いてくれるものではなく、自らの力で終着点にたどり着くしかないですからね。当時はアナログでしたから、重い本を何冊も持ち歩きながら、よく通ったものです。

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(University of York / Alex Holland)

学士課程では卒業に必要とされる単位を取得、修士・博士課程では論文審査に合格すると、無事卒業(修了)となります。イギリスの大学では、いずれもフルタイムで、学士課程3年、修士課程1年、博士課程は4~6年程度で学び終えるのが一般的です。また、面白いことに、イギリスの大学は、卒業式はあるのですが入学式はありません。ヨーク大学の卒業生は伝統的に、グレーのガウンと帽子を着用しますが、学部生と大学院生とではガウンのフードの部分(襟のように見えますが)の色が異なります。また、優秀な成績を修めた人も色が異なり、式ではその栄誉を称えられます。なかなか素敵な雰囲気ですよ。

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(University of York / Alex Holland)

さて、これまで学部生や大学院生の学びについてお話ししましたが、学びの形態も様々です。例えば、各学科には、聴講生の制度があります。また、大学院のほぼ全てのコースには、働きながら学ぶ人のためのパートタイムコースも併設されていて、ヨーク大学の場合は全学生の13%程度が21歳以上と、幅広い年齢層の人が在籍しています。海外からは、140を超える国と地域から人々が集い、大学間の単位互換制度を利用しての留学をはじめ、交換留学、学部留学、フルタイムまたはパートタイムでの大学院留学など、さまざまな形態で学んでいます。留学生には、専用の就学前英語講座がありますし、夏休みを利用して短期間に語学研修に参加する学生には、やはり専用の夏期集中英語講座が用意されています。

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(University of York / Suzy Harrison)

いつか海外で勉強してみたいと思っているのなら、いろいろな国の大学の制度やコースを調べてみることから始めてはいかがでしょう。きっと、自分の目的に合ったコースが見つかることと思います。学業に真摯に向き合う姿勢は、どの国の大学においても歓迎されるものです。そして、自分がここと決めた場所での学びは、皆さんをより質の高い、深みのある学問の世界へと導いてくれることでしょう。さらに、世界中から集う、同じ目的を共有する学友との出会いは、人生を何倍にも豊かなものにしてくれるはずです。皆さんもぜひ、世界の学生と共に、勉学に励む日々を過ごしてみてください。その素晴らしい経験はきっと、皆さんの人生の糧となることと思いますよ!

☆イギリス便りはこれで終了です。ありがとうございました。

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(University of York / Mark Woodward)

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