仁愛大学 Jin-ai University

人間学部

コミュニケーション学科

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2019年06月13日加藤優子先生から「イギリス便り」Vol.2が届きました!

2019年度前期、イギリスのヨークで国際共同研究を行っている加藤優子先生から、学科生や高校生の皆さんに「イギリス便りVol.2」が届きました。


こんにちは!コミュニケーション学科の加藤です。

現地レポート第2弾は、前回に引き続き、ヨークについて紹介したいと思います。

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ヨークの街並みの特徴の一つが、城壁です。ヨークの中心街は、中世に完成したという約4.5キロにわたる城壁に囲まれています。ヴァイキングによる支配が長かったヨークには、地名や城壁にその痕跡が残っています。この城壁の4か所にある城門(gate)を、ノルウェー語から来た"bar"と呼び、通り(street)を"gate"と呼びます。Yorkという町の名も、古代ローマ時代の「エボラクム」(Eboracum)という名が徐々に訛り、ヴァイキングによって「ヨルヴィック(Jórvík)」と呼ばれ始め、この呼び名が転じてYorkになったといわれていて、町にはその名の通りの「JORVIK Viking Centre」という歴史博物館があります。

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この古い城壁に囲まれた中心街は、直径がおよそ1.5kmの円形となっていて、20分ほどで端から端まで歩くことができます。中心街の風景には、2000年の歴史がそのまま重なって存在しているような錯覚を起こします。「ヨークの歴史はイングランドの歴史」といわれているそうですが、まさにその通りで、古代ローマ時代の遺跡が発掘されることもありますし、中世の古い石畳がそのまま残っている通りもあります。

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そして、観光地だけあって、数多くのカフェや雑貨店が並んでいます。15世紀~17世紀ごろに一般的だったという、木の柱を土壁で固めた古い建物をそのまま使っているところも。14・15世紀に建設されたギルドホールは、現在、カフェや結婚式場として利用されています。写真には、2階が1階よりはみ出ている建物もありますね。これらはかつての精肉店で、はみ出ている部分には、肉が吊るされていたそうですよ。

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他にも紹介したいことはたくさんありますが、最後に、外せないのがチョコレート。ヨークにはたくさんのチョコレート会社があって、ヨークのチョコレート製造の歴史を紹介する博物館(York's Chocolate Story)があったり、かつての経営者だった貴族の館がナショナル・トラストの歴史的建造物(Goddards House and Garden)として管理されていたりします。中心街では、早春にチョコレート・フェスティバルが開催されます。

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数ある中でも、ラウントリー社(Rowntree's. ロントリー社とも表記されます)は、皆さんもよくご存じのキットカットを世に生み出した製菓会社なのですよ。現在、製造・販売はネスレ社に移りましたが、ラウントリー社がヨークの発展に及ぼした影響は大きなものでした。

経営者の一人、ジョセフ・ラウントリー(1836~1925)は、慈善活動や社会改革に熱心で、後にジョセフ・ラウントリー財団と総称される3つの財団を創設。現在は4つの財団となり、ヨークを拠点に、主に低所得者層を支援するための教育や研究活動、住宅や福祉施設提供の助成事業等に従事しています。例えば、ヨーク郊外には、財団が運営している学校や福祉施設村が現在も存続していますし、ヨーク中心街にある、1860年に建設されたラウントリー社所有のカカオ豆貯蔵庫は、近年、財団によって一部改装され、住宅となっています。チョコレートの歴史とヨークの人々の暮らしが、現代でも密接に繋がっているのですね。

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チョコレートといえば、ベルギーやスイスで作られたものがとても有名ですが、ヨークのチョコレートも濃厚で美味しいですよ。今度、キットカットを食べるとき、ヨークに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

ヨークに興味のある方は、下記のURLをご覧ください。とても美しい写真を見るだけでも楽しいと思いますよ!

ヨーク観光案内:https://www.visityork.org/

その他の参考資料: https://en.wikipedia.org/wiki/Yorkshire

https://www.jrf.org.uk/

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