地域共創センターでは、地域への「知の提供」のために、教育・研究・支援の成果を活かした学術的・文化的講座や、地域の皆さまのための教養・スキルアップ講座など、多彩な講座を開講しています。

 今回の公開講座は、3月30日(水)18時30分~20時、本学講義室において、仁愛大学非常勤講師 坂東照啓先生による「ブラジルと日系移民~これまでとこれからの日本とブラジルのつながり~」というテーマで開催しました。この講座は、ブラジル人市民が多く暮らす越前市の多文化共生の推進に向け、越前市様並びに株式会社福井村田製作所様からの寄附金を活用した寄附講座です。

 講座は、坂東先生の「日本の反対側に位置するブラジルは最も遠い国と言えるが、日本には現在、約20万人ものブラジル人が生活しており、日本人にとって最も近い国の一つといえます。ブラジルの人たちと共に暮らし共生していくためにも、お互いの国の歴史や文化などについて理解を深めていくことが大切です。日本とブラジルの歴史的つながりなどについて一緒に学んでいきましょう。」との温かい言葉で始まりました。

 先生からは、「コーヒー豆生産量世界一を誇るブラジルの朝食はパンとコーヒーが定番となっています」「治安上の課題を抱えるブラジルでは、泥棒の侵入防止のため玄関に"獰猛な犬がいる。注意"と書かれた看板などを出している家もあります」などの生活面のお話しに続き、国の歴史等の話をいただきました。

 「ポルトガル人の漂着でポルトガル領となったブラジルは、1822年に独立。今年が独立200周年になります。」 「日本とブラジルが深い関係を持つようになった歴史は、1888年の奴隷制廃止を受けての戦前・戦後にわたる日本からブラジルへの約25万に及ぶ移民によって始まりました。」ブラジルの国内情勢を受けての日系移民の歴史と、その背景にある地方農村の荒廃や労働力の過剰、低賃金・貧困問題等々、当時の日本の状況等についてもお話をいただきました。

 さらには、戦争による日系移民への影響、1980年代ブラジル経済危機が引き起こした日系ブラジル人の就労目的での来日、外国人労働者に対する日本政府の方針等々・・。

 熱く語る坂東先生のお話しに、受講者の皆さん全員が強い関心のもと、うなずきながら熱心に聴き入っていました。

 最後に、坂東先生から、改めて「多文化共生社会の実現に向けては、日本人もブラジル人も、お互いが相手の文化や価値観の違いを理解し、尊重し認め合いながら協働することが大切です。」と、願いを込めたメッセージをいただき、講座を終了しました。

 本学では引き続き、令和4年度も多文化共生の推進に向けて「ポルトガル語」をはじめとした、各種講座を予定しております。

 皆様には、今後も本学ホームページやチラシ等でご案内させていただきますので、是非ご参加いただきますようお願い申し上げます。

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