仁愛大学 Jin-ai University

NEWS

お知らせ

お知らせ

2024年04月03日令和6年度 入学式 学長式辞

 今年は雪も少なく、キャンパスも今が盛りと桜が咲き誇っています。そして、キャンパスの裏山には鶯の声がさえずりわたっています。そんな穏やかな今日、越前市市長 山田賢一様、越前市議会議長代理 副議長 橋本弥登志様をはじめ多数のご来賓の方々のご臨席を賜り、令和六年度の仁愛大学ならびに仁愛大学大学院の入学式が挙行できますことは、本学教職員一同の大きな歓びであります。人間学部心理学科58名、コミュニケーション学科66名、3年次編入生1名、人間生活学部健康栄養学科62名、子ども教育学科49名、人間学研究科臨床心理専攻13名の新たに仁愛大学の学生となられた皆さん、入学を認定致します。まことにおめでとうございます。
 また、保護者の方々にも、心よりお慶び申し上げます。併せて、今後の本学の教育・研究・地域連携などの社会活動につきまして、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 ところで、今年は元日に能登半島地震がおき、多くの方が被災されました。心からお見舞い申し上げます。本学の学生の中にも被災した学生がおり、大学としてはできる限りの対応をしております。また、本学教員も専門職の立場からボランティアにも参加しております。一日も早い復興を願うものです。
 さて、本学は「仁愛」という大学名が示す通り、『仏説無量寿経』の「慈恵(じえ)博く施し、仁愛兼ねて済う」ということを建学の精神にしております。平易に言えば、
「互いに『いのち』を尊び、共生社会の実現を目指し(仁愛)、世を照らす灯となって、それを実践する(兼済)。」
ということです。そして、そのことを教育の根本にし、実践の在り方を聖徳太子に求めています。
 聖徳太子の言葉に「世間虚仮(せけんこけ) 唯仏是真(ゆいぶつぜしん)」(天寿国繍帳銘文(てんじゅこくしゅうちょうめいぶん))という言葉があります。「世間虚仮」とは、私たちの社会、つまり、人間の営みの中は「虚仮」なるものであり、真実・絶対と言えるものは何もない。すべてが相対的なものであり、何が善で、何が悪か決められないと言うことです。なぜなら、私たちは自分の都合で、もっと言えば、私の勝手な価値観で善し悪しを決めているからです。「唯仏是真」つまり、「ただ仏のみこれ真なり」とは、私自身がそういう存在であると気づかせてくれる仏の智慧こそが真実・絶対であるということです。
 例えば、私たちが立膝をして食事をすれば、お行儀が悪いと叱られます。しかし、韓国へ行けば、チョゴリの下で立膝をして食事をします。韓国ではそれが正しいのです。それは文化が違い、価値観が違うからです。そのことに善し悪しは決められません。今、ウクライナとロシアが戦争をしています。私は、ロシアに加担するつもりはありませんが、どちらも正義と言っております。戦争は正義と正義がしているのです。
 聖徳太子の言葉からすれば、それらの人間の価値観は、虚仮、つまり、虚しいもので絶対ではありません。それを、相対的なものであると気づかせてくれるもの、つまり、自らの在り方を問い返し、それが絶対ではないと気づかせてくれる教え、仏の智慧こそが真実なのです。自己を絶対化するから争いが生じるのです。自分で自分は見えません。鏡、つまり私を映してくれる教え(法)に出会わないと、ありのままの私は見えません。
 自分で自分は見えない。法を見ると自分が見える。
 そういう、私を見つめる場が、ソウルメイキングキャンパスとしての本学です。そのような人を育むことが、本学の建学の理念です。
 本学では、1年次に「仏教の人間観」という全学共通科目を学んでいただきます。建学の精神を具体的に学ぶ授業です。どんな職業に就こうとも、必要とされる高度な教養です。この出遇いが皆さんの人生を心豊かにしてくれるでしょう。
 皆さんが、それぞれの分野の高度な専門的知識とスキルを修得するとともに、心の通った人間性を培うキャンパス、それが本学です。正門に「美(うるわ)しい世を拓(ひら)く灯となるために」と書かれています。「美しい世」とは、そのような「心の通った豊かな世」という意味です。
 最後になりますが、本学におきましては、教育・研究はもちろん、「地域共創センター」を中心に、全学的に地域連携を推進する体制を取っております。これまでの先輩諸君の活動は、インターネットや新聞、テレビなどのメディアをとおして広く伝えられております。これらの活動をとおして、多様な人間関係を学び、また企画力、マネージメント能力を養うことができます。これらの成果によって本学の就職率は、非常に高いです。管理栄養士の合格率は今年も全国トップクラスでした。
 また、本学は地元・地域との関係が密接な大学です。特に越前市とは包括協定を結んでおり、3月22日には本学・越前市・福井村田製作所様の三者で「ポルトガル語寄附講座の設置に関する協定」なども締結し、多文化共生事業などを積極的に行っております。また、福井県とは、越前市や県観光協会とともに、その要請により今年度から「観光学特設コース」を開設いたします。そのほか、地域のご支援をいただき、さまざまな連携事業を推進しております。
 福井県や越前市のご協力に感謝するとともに、諸君が本学で充実したキャンパスライフを送り、立派に成長されますことと、一層ご活躍されますことを念じまして式辞といたします。


令和6年4月3日
仁愛大学 学長 田代俊孝

PAGE TOP