仁愛大学 Jin-ai University

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2023年04月05日令和5年度 入学式 学長式辞

 ここ万葉の里にも春が訪れ、桜は満開です。しかし、新型コロナウイルス感染症で、平穏な生活が奪われてきましたが、ようやくコロナ前にもどりつつあり、マスク生活から抜け出せそうです。その中で、本日、入学式を迎えました。人間学部 心理学科83名、コミュニケーション学科73名、編入生3名、人間生活学部 健康栄養学科48名、子ども教育学科56名、人間学研究科 臨床心理学専攻14名、新たに仁愛大学の学生・大学院生となられた皆さん、ご入学おめでとうございます。また、御参席の保護者の方々にもこの場より心からお慶び申し上げます。併せて、今後の本学の教育・研究・地域連携などにつきまして一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 さて、本学は「仁愛」という大学名が示す通り、『仏説無量寿経』の「慈恵(じえ)博く施し、仁愛兼ねて済う」ということを建学の精神にしております。平易に言えば、「互いに〈いのち〉を尊び、共生社会の実現を目指し(仁愛)、世を照らす灯となって、それを実践する(兼済)。」ということです。そして、そのことを教育の根本にしております。仏教の教義は哲学であります。
 昨今、「宗教」と言うと「カルト宗教」と同一視され、「危ない物」と見られることが多いです。本来的普遍宗教は、例えば仏教の「解脱(げだつ)」という言葉が示すように、自分を縛って苦の原因となっている価値観から解き脱ぐ、つまり、心を開放するものです。そして、本来的自己を取り戻して、心を平安にさせるものです。それに対して、カルトとは、非科学的教義に基づくか、或いは、本来の宗教の教義を利用して、マインドコントロールして教祖に服従させ、教団の利益追求を行うものです。皆さんは、本学での学びで、高度な教養として、宗教の何たるかを学んでいただきます。それは、カルト宗教に陥らないようにしていただくためにもたいへん重要であります。
 本学では、普段の学びとして学内各所に「ソウルメイキングキャンパス」と題してやさしい標語を掲げています。過去に掲示された言葉から二、三ご紹介します。

「知っている」「わかっている」という壁があなたを閉じ込めているのです。
 「賢い人」は、「知っている」「わかっている」と言って、聞く耳を持たない。一人よがりの思い込みで、わかったつもりでいるのです。そこに壁ができています。カルト宗教の価値観にはまって、それを絶対視している人に響いてほしい言葉でもあります。

「迷信」という信があるのではない。私の信が迷っていたのです。
 迷信という信が私を迷わせていると思う。しかし、実は、私が確かなものを知らないので、迷っていただけなのです。迷いの原因は、私の心の中にあるのです。私の信念が定まっていなかっただけです。確固たる信念がないからカルト宗教に迷うのです。

自分で自分は見えないのです。他(ほか)なる力(はたらき)によってはじめて見えるのです。
 誰しも自分には甘い。だから、自分で自分を見ることはできません。他なる者の眼で、初めて自分の「ありのまま」がわかるのです。一生を尽くして、ありのままの私に出遇う旅をする。それが仏教を学ぶということです。確固たる信念を確立し、何物にも迷わない独立者になったとき、「あなた」は「あなた」になるのです。

本当にきれいな色は、あなた色です。
 新入生のみなさん、初めて会う友達も、賢そうで立派に見えるかもしれませんね。比べず、焦らず、そのままで。あなたはあなたであればいいのです。あなたの良さに気づいてください。本当にきれいな色は、「あなた色」です。さあ、あなたらしく堂々と・・。

 皆さんが、それぞれの分野の高度な専門的知識とスキルを修得するとともに、心の通った人間性を培う「ソウルメイキングキャンパス」、それが本学です。正門に「美(うるわ)しい世を拓(ひら)く灯となるために」と書かれています。「美しい世」とは、そのような「心の通った豊かな世」という意味です。
 最後になりますが、本学は地元地域との関係が密接な大学です。「地域共創センター」を中心に、全学的に地域連携を推進する体制を取っております。多文化共生、駅前サテライトなど、これまでの先輩諸君の活動は、インターネットや新聞、テレビなどのメディアをとおして広く伝えられております。これらの活動をとおして、多様な人間関係を学び、また企画力、マネージメント能力を養うことができます。
 今後とも、地域のご支援をいただき、連携事業をさらに進めてまいります。福井県、越前市のご協力に感謝するとともに、諸君が本学で充実したキャンパスライフを送り、立派に成長されますことと、一層ご活躍されますことを念じまして式辞といたします。



令和5年4月5日
仁愛大学 学長 田代俊孝

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