仁愛大学 Jin-ai University

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2021年04月05日令和3年度入学式 学長式辞

IMG_4894_4.jpg ここ越前万葉の里にも、春が訪れ、桜は満開です。しかし、新型コロナ感染症で、平穏な生活が奪われ、世界中の人々が対応に追われています。やがて、この事態も収束して、必ず元通りの生活を取り戻せることを信じて最善を尽くしたいと思います。その中で、今日、入学式を迎えました。新入生のみの出席というのは、感染者拡大を防ぐための苦渋の決断です。まず、そのことにご理解をいただきたく存じます。
 人間学部 心理学科、コミュニケーション学科、人間生活学部 健康栄養学科、子ども教育学科、人間学研究科 臨床心理専攻の新たに仁愛大学の学生となられた皆さん、ご入学おめでとうございます。また、本日、出席がかないませんでしたが、保護者の方々にも、この場より、心からお慶び申し上げます。併せて、今後の本学の教育・研究・地域連携などにつきまして一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 新学期の授業も、感染防止のため、リモートと対面のハイブリットの授業形態をとらざるを得ません。ご理解を賜りますようお願いいたします。
 さて、本学は「仁愛」という大学名が示す通り、『仏説無量寿経』の「慈恵(じえ)博く施し、仁愛兼ねて済う」ということを建学の精神にしております。平易に言えば、
「互いに〈いのち〉を尊び、共生社会の実現を目指し(仁愛)、世を照らす灯となって、それを実践する(兼済)。」
ということです。そして、それを実践された親鸞聖人の仏教を教育の根本にしております。
 今、申しました「共生」というのは、今では広くあらゆるところで言われていますがもともと仏教の考え方です。
 この考えを世に広めたのは、建築家の黒川紀章氏です。彼は愛知県の出身で日本を代表する世界的建築家です。高度成長期に「日本列島改造論」が日本中で風靡される中で、それに、反して自然や人と共生する「共生」を都市建築のポリシーにしたのです。1987年に徳間書店から『共生の思想』という書を出しています。その中でその「共生の思想」を学んだのは、高等学校時代の恩師によるものだと言っています。彼の出身の高等学校は、名古屋市にある本学と同じ仏教系の学校です。そこの校長は、有名な仏教学者である椎(しい)尾(お)弁(べん)匡(きょう)博士でした。椎尾博士は1921年に『共生の哲学』という書を出しておられます。(「普共(ふご)衆生(しゅじょう)」という言葉に示されるように)縁起という仏教の哲学によるものです。縁起とは「つながり」、つまり、関係存在を意味する言葉です。黒川氏は恩師の言葉を引用した後、次のように言っています。
「〈共生の思想〉を世界へ提言する。私は1959年に時代は、機械の原理の時代から生命の原理の時代へ移行するパラダイムと予見した。工業化社会、物質文明、大量生産、均質性、人間中心主義などが重視された時代には、理性が持つ最高の種としての人間が自然を征服してコントロールするのは、当然と考えられた。(略)明治以降の日本はまさにこのような意味で近代化の道一筋で進んできた。
 今、時代は確実に変化しつつある。情報化社会、精神文化、多様性、個性、人間と自然の共生、多文化との共生が重視される時代になった。共生の時代には、人間が自然をコントロールするのではなく、人間が自然に手を貸すことによって自然と共生すると同時に、自然の英知からも学ぶことによって自然と共生するというアジアの思想も世界的に意味をもつものである。」(『共生の思想』)
と。黒川氏の高等学校時代における仏教との出遇いが、彼の人生を、もっと言えば世界を変えたのです。
 仏教には、「共生」を教えるこんな説話もあります。経典に「共(ぐ)命(みょう)鳥(ちょう)」と言って、一つの胴体に頭が二つある鳥が出てきます。この鳥は、ヨーロッパへも伝わって「双頭の鷲」となり、各地の王家の紋章になっています。
あるとき、片方の頭が、もう一方の頭が憎いので、もう一方の頭を、騙して毒の木の実を食べさせました。そうしたら、自分も死んでしまったというお話です。同じ地球に住んでいる我々は「共なるいのち」を「共に生きている」のです。
 本学では、1年次に「仏教の人間観」という全学共通科目を学んでいただきます。建学の精神を具体的に学ぶ授業です。どんな職業に就こうとも、必要とされる高度な教養です。この出遇いが皆さんの人生を変えるかもしれません。
 皆さんが、それぞれの分野の高度な専門的知識とスキルを修得するとともに、心の通った人間性を培う「ソールメイキングキャンパス」、それが本学です。正門に「美(うるわ)しい世を拓(ひら)く灯となるために」と書かれています。「美しい世」とは、そのような「心の通った豊かな世」という意味です。
 最後になりますが、本学におきましては、教育・研究はもちろん、「地域共創センター」を中心に、全学的に地域連携を推進する体制を取っております。多文化共生、駅前サテライトなど、これまでの先輩諸君の活動は、インターネットや新聞、テレビなどのメディアをとおして広く伝えられております。これらの活動をとおして、多様な人間関係を学び、また企画力、マネージメント能力を養うことができます。これらの成果によって本学の就職率は、近年、全国の大学でトップレベルです。管理栄養士の合格率は今年も100%でした。
 本学は地元地域との関係が密接な大学です。特に越前市とは、多文化共生事業などを行っております。今後、地域のご支援をいただき、連携事業をさらに進めてまいります。
越前市、福井県のご協力に感謝するとともに、諸君が本学で充実したキャンパスライフを送り、立派に成長されますことと、一層ご活躍されますことを念じまして式辞といたします。


令和3年4月3日
仁愛大学 学長 田代俊孝

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