心理学部心理学科
ダイバーシティなんて言葉が聞こえる反面、私たちは本当にお互いの違いを認め合えているのかな?
一人ひとりのウラにある偏見につながる要因って?そんな卒業研究の例を見てみましょう。
SNSは誰でも自由に発信できる反面、みんなが同じことをしないとなんとなくいけないような、そんな風潮に疑問を感じていました。もっとお互いを認め合っていければいいのに、と。人は多様性があってあたりまえ。多様性を受け入れられる人は、まず自分らしさをきちんと受け入れる「本来感」を持っている人なんじゃないかな、と思ったのがきっかけでした。最近、日本で同性婚の動きも高まっているし、では同性愛者に対する偏見は、どんな要因が影響して起こるんだろう、と調べてみることにしました。
学生に質問紙で調査を実施。質問項目として、まず先行研究の中から、同性愛者への偏見に影響を与える要因をピックアップ。自分の性別と社会的役割としての男性らしさ、女性らしさが一致しているかどうか(性役割同一性)や、LGBTに対する知識がどの程度あるか、といった項目を拾い出し、そこに私が着目した「本来感」についての質問を加えました。
回収した質問紙の回答をまずエクセルに打ち込み、それをSPSSという分析ソフトにかけて分析します。たとえば相関分析では、自分らしさを受け入れる「本来感」が高いか低いかで、同性愛者に対するイメージに差があるか、といった相関関係を分析。また分散分析では、LGBTという言葉に関する知識の差が同性愛者に対する偏見に関係しているのか、といった分析を行いました。
LGBTに対する知識と性役割同一性は、同性愛者への偏見に影響を与える要因である、という結果が得られ、これは先行研究と一致。また、今回加えた「本来感」については、本来感の高い(自分らしさを受け入れている)女性がゲイを社会的に認めている傾向が見られました。ただ、人によってはゲイに対してステレオタイプなポジティブイメージを持っている可能性もあり、さらに詳しく調べる必要を感じました。