心理学部心理学科

【ミニWEB講義①】頭がパンクしてパニック状態!コントロールできるってホント?

注意をコントロールすれば頭の情報処理がしやすくなる!

スマホやPCと同じように、頭のワーキングメモリーにも空き容量は必要。
容量を超えるとパニックになり、何も考えられない状態になってしまいます。
どうやらそこには、「注意」の向け方が、関係しているようですよ。

見えているものすべての情報を処理するなんて、そもそも無理〜!

目の前のことに頭がいっぱいで、他のことなんて考えられない!…皆さんもそんな経験がありませんか?これは、ひとつのことに「注意」が固定されているから。ASD(自閉症スペクトラム)や強迫神経症などの人にしばしば見られるパニック状態にも、この「注意」が関係している、ということが近年わかってきています。
注意というと、そのものにフォーカスしているイメージがありますが、実際には他の情報に抑制をかけ遮断している状態です。たとえば、目の前の人に注意を向けているとき、周囲のものも視界には入っていますよね。でもこのとき、頭は周りの情報に抑制をかけ、一つのことに集中して処理しやすい状態をつくっているのです。
一方、ASDなどの人は、他の情報を遮断することができず、すべてを均等に取り込んでしまうので、頭がパンク状態に陥ってしまいます。想像してみてください。もし、誰かと話をしているとき、周りの情報が相手との会話と同じように鮮明に入ってきたら?… パニックになるのも無理はないですよね。
ではパニックを避けるためにはどうすればいいのか。注目されているのは、自分の呼吸や身体感覚に注意を集中するマインドフルネス瞑想。リラックス効果や集中力を高めることで知られる瞑想方法ですが、これによって自ら注意をコントロールする「能動的注意制御」ができると期待されています。ASDの人に限らず私たちも、能動的注意制御で頭の処理をうまくコントロールしたいものですね。

杉島 一郎教授

心理学科|専門分野「認知心理学」

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