心理学部心理学科
「無意識」とは、自分の中の「もう一人の自分」、あるいは「心の中の子ども」ともいえます。
フロイトの精神分析にはじまり、心の病気の治療(心理療法)を通じて発展してきた深層心理学は、この「無意識」を研究する心理学なのです。
箱庭療法を知っている人も多いのではないでしょうか。砂箱の中に、玩具を使って自由に表現することで、心の癒しや成長を促していく心理療法の一つです。砂箱は底が青く、砂を掘れば水を表現することができますが、たとえばそこに橋を架けない人は、外の世界とつながりたくない、と感じている場合が多い。あるいは抽象的な模様を左右対称に描く人は、不安定な心の状態を安定させようとしている表れ…。箱庭には様々な心の状態が映し出されます。
砂を触っていると子どもの頃の気持ちを思い出しますよね。それを心理学では「退行」と言います。退行状態とは、無意識が活性化している状態。退行状態になると、心の中からイメージがわきやすくなります。つまり、活性化した無意識が表現されることによって、心の癒やしや成長が促される、と深層心理学は考えます。
そして無意識は、「本当の自分」の存在感覚と結びついています。日本の学校や社会では、なんとなく周りに合わせたほうがいい、という風潮の中で本当の自分がわからなくなってしまう子どもたちや大人も多い。傷ついているのも「自分」なら、その気持ちを抑えて頑張っているのも「自分」。でもそれは、「本当の自分」を忘れてしまった自分なのです。加えて、大人になると頭で考えることが増えて、無意識が働かなくなります。深層心理学は、こうした無意識の顕在化を通して「本当の自分」を探求する心理学です。
心理学科|専門分野「深層心理学」