心理学部心理学科
「なんとなく沈んでふさぎこんでしまう、こんな自分をなんとかしたい」、 「人の気持ちがもっとわかるようになりたい」、「悩みを抱えている人の手助けをしたい」……。
そんな声に応える学問として、いま最も注目を浴びているのが心理学。
人々の「心の癒し」を実現するカウンセラーの役割も脚光を浴びています。
でも、心理学がどんな学問なのか、本当のところはあまり知られていません。
そこで、大学で学ぶ心理学とはどんなものか、少しだけ覗いてみましょう。
人はどうやって経験を通して学び、行動を変えていくのかを追究するのが学習心理学。“条件反射”を明らかにした「パブロフの犬」の実験は有名ですよね。
人間が感覚で捉えた情報をどのように処理するのかを扱うのが認知心理学。最近ではMRIなどの機器を使って脳と認知の関係をさぐる研究もさかんです。
人間の心と身体はどんな関係になっているのでしょう? この問題を科学的に探究していく心理学の基礎分野です。いわば医学と心理学の中間のようなジャンルでしょうか。
成長に伴って心がどう変化するかを研究するのが発達心理学。発達段階ごとに「乳・幼児心理学」「児童心理学」「青年心理学」「老年心理学」などがあります。
etc.
社会生活のなかで、心はいったいどういう働きをしているのでしょうか。対人認知、社会的態度、人間関係、コミュニケーション、集団行動などがテーマです。
心の悩みを抱える人を診断し、心理的技術によって悩みの解決を支援します。カウンセリング論なども臨床心理学から枝分かれしたジャンルです。
企業で働く人の心理を研究する、社会心理学のジャンルのひとつ。やりがいをもって仕事をするには何が必要か、ストレスをいかに軽減するかなどがテーマです。
スポーツと身体や心の関係を見つめ、イメージトレーニングやリラクゼーションの方法、動機づけ、目標設定などについて実践的に研究します。
etc.
「こころの時代」と言われる今日、心理学の知識を活かして社会で活躍する人が増えています。
そのステージも、病院や診療所といった医療機関をはじめ、福祉施設、行政機関、学校、企業の人事・労務部門などバラエティ豊か。公認心理師以外にも心理学を社会に活かしたい人のために様々な資格が設けられています。
「任用資格」とは、特定の職種(福祉行政やその他の関連領域)に就くために求められる国が定めた資格のことです。
任用資格は、資格を取得した後、該当する職種に任用・任命されて初めて効力を持つ資格です。
ただし、どの資格をとっても、就職が保証されるといったものではないので注意してください。
人間の心は複雑なものです。そのつどそのつどの場面や状況によって、さまざまな働きがあります。そして、どの場面での心理を扱うか、どういう切り口や方法論で扱うかによって、心理学には数多くの分野があります。
上の図で解説した8つの心理学のほかにも、知覚心理学、動物心理学、教育心理学、福祉心理学、健康心理学といった様々な分野があり、それぞれに扱う対象も違えば、方法論も大きく異なっています。なかには司法・犯罪心理学のように犯罪問題という現代社会の課題を解決するために生まれた分野もあり、心理学が社会の要請に応える実践的な学問だということがよくわかります。
これらの幅広い心理学についてひと通り学ぶのは大変なことですが、人間の心に本当に興味のある人なら、ひとつの小宇宙を旅しているような知的感動と興奮を味わえることでしょう。