心理学部心理学科

【卒論編②】ツラいとき「助けて」って言える人と言えない人には違いがあるのかな?

困っていても助けを求められない人には、どんな特徴があるのかな?

近年の困難な社会状況の中、多くの人たちが心に悩みや苦しみを抱えて暮らしています。
必要な人に社会や周囲の助けが届かない要因を、心理学の観点から調べた卒業研究とは?

【研究テーマ】「私的自己意識が被援助志向性へ与える影響と
賞賛獲得欲求・拒否回避欲求と自己隠蔽への影響について」

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    目的先生や友だちと相談しながらテーマや内容を絞り込み!

    人が自殺に至る要因のひとつに、周りに援助を求めないケースがあることに着目。援助を求める際の心理的な抑制要因について研究を行いました。今回は、自分の感情や内面など他者から見えない部分に意識を向ける「私的自己意識」が高い人は、被援助志向性が低くなる(周りに援助を求めない傾向)、という仮説を立てて調べました。

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    調査アンケート調査の回答はスマホでOK!

    Microsoft Formsというアンケート作成ツールを活用し、QRコードを読み取ってスマホで回答するという調査を実施。教室や食堂で学生にQRコードの入った用紙を配布しました。調査には、1.「賞賛獲得欲求・拒否回避欲求(肯定的な評価を得たい・否定的な評価を回避したい)」2.「私的自己意識」3.「自己隠蔽」4.「被援助志向性」の4つの尺度を採用。それぞれの相関性を調べることにしました。

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    分析分析ツールを使いながら統計結果を検証!

    調査結果について各尺度の相関関係を分析。SPSSというデータ分析ツールを使って行いました。先行研究と同じ質問をしていても対象者や属性によって結果が変わってくることがわかったり、他の質問とは測定の向きが逆になってしまう“逆転項目”をどのように設けるか、といった課題も出てきましたが、友だちと相談したり教えあいながら乗りきることができました。

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    結論仮説とは異なる結果は今後への課題に!

    自分の感情や内面に意識を向ける傾向が強い(私的自己意識が高い)人は、周りに援助を求めない傾向(被援助志向性が低い)という仮説に反して、両者に関係性は認められませんでした。ただ、私的自己意識にはネガティブな面(反すう)とポジティブな面(省察)があり、その混在が影響したとも考えられます。一方で、自己隠蔽と被援助志向性の間には負の相関が見られ、自己隠蔽は抑制要因といえることがわかりました。さらに調査方法を精査し、今後の研究につなげていきたいです。

若年層の自殺死亡率の年次推移(過去5年間)

実験・調査で身に付く力

  • 興味と向き合い、自分自身と向き合う力
  • 先行研究から必要な情報を抽出する力
  • 質問紙を考え、その結果をまとめる構成力
  • データから人間の行動特性を読みとる分析力
  • 仮説や思い込みにとらわれない柔軟性
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