心理学部心理学科
昔は多くの家に囲炉裏があり、今は焚き火の動画がネット上で多くの人を癒やしています。
そんな炎のリラクセーション効果を知り、もっと生活に取り入れるための卒業研究とは?
癒やしやリラックスをテーマに考えていて、思い出したのが実家にある囲炉裏の炎。親戚が集まると囲炉裏を囲んでお茶を飲んだり話をしたり…炎を見ているだけで癒やされたんですよね。さすがに囲炉裏は使えないので、炎のリラクセーション効果について、ろうそくの本物の炎とLEDの炎を使って研究することにしました。
実験では、最初に計算問題を解くというストレス環境をつくり、その後、暗くした部屋で炎を見つめたときの心の状態を測定。本物の炎とLED点灯の両方で、心拍・瞬目・唾液といった生理反応や、主観的な気分の変化を記録しました。同じ心理学科の1、2年生に被験者をお願いするために、夏休み前の準備は大慌て。私も先輩の卒論実験の被験者の経験がありますが、ゼミや研究をのぞけて面白かったです。
生理反応の分析には悪戦苦闘。電極の位置がズレたりノイズが入ったり、バラつきのある約20人分の波形データと夏休み中、にらめっこしていました。でも心拍やまばたきなど意識的でない反応だからこそ、興味深くもありました。その頃、就活や母の入院も重なり本当に大変だったのですが、乗り越えられたのはゼミ仲間のおかげ。今思い出すと楽しさしかありません。
本物の炎のときは心拍率が下がりまばたきの量もほぼ一定で、リラックス状態に。LEDのときは、リラックスすると減少するはずの唾液中のアミラーゼという酵素が増加しました。一方で、本物の炎もLEDの炎も、見ていると緊張や不安が低下するという主観的評定が得られました。安全性を考えると、家では囲炉裏どころかろうそくでさえ取り入れるのは難しい時代。自然のゆらぎとまではいかなくても、LEDを生活の癒やしにうまく活用できればいいと感じました。